旅先で出会った味に思いを馳せたことはないだろうか。
筆者は今でも覚えてる、香港で食べた黄金の鶏スープ(勝手に名付けた)や、
台湾の薑絲大腸(酸っぱい腸&ほっそい生姜)、ブータンで飲んだビール、
インドの機内食で食べた超美味しいほうれん草カレーと、二度と口にしたくない羊乳のヨーグルトなどなど、
酸いも甘いも、体に染み渡ったかけがえのない旅の思い出。
今日の主人公はこのお二人さん。
香る旅の記憶を生まれ持った抜群のセンスで、どんな料理でも作れてしまう旅シェフのTomocoさんと、
「運ぶなら彼女の料理を運び続けたい。」とシェフの料理を愛してるオーナーの折田さんの
二人が織り出す食の旅、旅路Kitchen
店名に込められた2つの想い。
「海外で出会った美味しい料理と、海外の方にとっては、日本という旅の途中で出会う母国の味を再現する」
再現するのは、決して簡単ではない。
毎月、月替わりで5か国もの料理を提供している【Monthly TABI chef Lunch】
夏には気候の暖かい東南アジア諸国等の国の料理を、冬には気温の低いヨーロッパ等の国の料理をベースに、
パンとお米やパスタといった主食、副菜の種類も揚げ物・焼き物などをそれぞれバランスを考えながら、パズルのように組み合わせたメニュー構成
1か月安定供給する難しさ。
各国のスパイスだけで3社様と取引があるほど、海外の食材を取り寄せることもあることから、2か月前から準備を始めることもあるというTomocoさん。
驚くことに、レシピがないうえに、食材のロスも出ないというのだから目から鱗である。
シェフの料理を運び続けたい
二人の出会いは、かつて務めていたイタリア料理店。
当時ホールスタッフとして働いていた折田さんとシェフとして働いていたTomocoさん。
お客様の料理の好みを把握しているTomocoさんのことを尊敬し、彼女の料理は自信をもって運べたという。
もともと飲食が好きな折田さんは、これからも運ぶのであれば、Tomocoさんの料理を運び続け、いろんな人に食べてもらいたい想いもあり、6年前に二人で始めたのがこの旅路Kitchen
多国籍料理ならではの壁
さて、この記事を読んでくださってるみなさんは、外食をしよう!と思い立った時、どう検索しますか?
筆者はついつい多国籍料理を入力してしまう癖がありますが、一般的にはその日の気分にあった『ジャンル』を検索するのではないだろうか。
「場所+タイ料理」といったように。
今となっては、『多国籍料理』というジャンルは認知されているが、6年前の開店当時は多国籍料理に対する認知度が今よりも低く、ぐるなび登録時のジャンル選択に当初困惑をしていたという。
そして、1か月でメニューが全て変わることから、取材の依頼があったとしても、記事になった頃には、お目当てのメニューを食べることができないこともしばしば。
私たちの料理とは一体?と悩んだ末、『カフェ』として営業を始めたものの、さらなる壁にぶつかる。
提供する5か国のランチメニューのうちタイ料理や、中華等、普段の生活で既に馴染みのある料理をお客様が選択する傾向にあり、珍しい国の料理はほとんど出ない状態が続いたそう。
ただ次第に、Tomocoさんのこだわり、味、遊び心に富んだメニューがリピーターを呼び、お客様が徐々に定着してからは、今では珍しい国の料理を求めて旅路Kitchenにやってくるお客様の方が多いのだとか。
そして、四ツ橋駅からは徒歩3分、心斎橋からも徒歩圏内という立地の良さから、幅広い層にご来店いただけてるとあって、「堀江でよかった。」と折田さん。
思い出のレシピ:魯肉飯
旅chefのTomocoさんに思い出に残るレシピを聞いてみた。
普段はとくに料理の目的を持って旅行をしている訳ではないTomocoさんが、
開店してから初めて現地の味を食べに行こうと決め旅先として選んだのが【台湾】
早速帰国後、台湾で食べた魯肉飯(ルーローファン)をメニューに取り入れた月に、台湾人のお客様から
「現地よりも美味しい。」と、言ってくださったことがとっても嬉しかったと、Tomocoさん。
オーナーの折田さんも、「一緒に旅行へ行ったときに食べた料理を帰国後さらにレベルアップさせて作ってくれるから、
本当に毎回美味しいし、目分量で作ってるからすごい。」、思わず羨ましいーーー!と叫びたくなる。
いつも目分量であるTomocoさんもきっちり工程を守って作るレシピが3つ存在するというのだから、面白い。
適材適所:できることは全部自分たちの手で
インタビュー時、筆者はこれでもか!というくらいに、凄い!を連発していたのだが、本当に二人は凄いのだ。
適材適所がここまでぴったりに当てはまるお二人を私はまだ出会ったことがない。
何がすごいのか?ー お店の内装から、HPの作成、メニューの写真撮影や商品のラベルの作成や印刷などなど、
基本的に目に映るものほとんど二人で考え、作成したものだという。
階段の装飾で使用されてるお花のスワッグまで、開店時に頂いたお花を使用して作っているのだから、つい感嘆の溜息が漏れる。
メニューの構成、チラシのデザイン、ラベルの絵など、センスに関わるものはTomocoさんが担当、
HPの作成、写真撮影、接客、メールのお問い合わせ対応などは折田さんが担当しており、
役割分担がハッキリしている為、お互いの専門領域には踏み込まない姿勢も垣間見え、これこそプロフェッショナルだと感じた。
アフターコロナにはまた以前のように『旅に行ってきます。』と記した紙を貼って、弾丸で海外旅行に行きたいのだとか。
旅路Kitchenだからこそ叶う休日スタイル!羨ましい!
食の一期一会
最後に筆者が食べた料理を紹介しよう。
旅路Kitchenがこれまでに提供した料理は、57か国250種類以上
茶系に統一されたワイルドな空間は、お店のこだわりポイントでもあるので、老若男女問わず落ち着いて食事を楽しむことができる。
初めて行ったのは、今年の4月。4月だけで既に2回足を運んでいる筆者。(笑)+8月取材時に1度と既にリピーターと呼べそう!?(笑)
食べたのは、4月メニューのアメリカのプルドポーク、ルーマニアのサルマーレ、インドのキーマと8月メニューのプエルトリコのトリブレッタサンドイッチの4皿。
そのなかでも、衝撃を受けた1皿との出会い、4月メニューのインドのキーマ。
冒頭にも書いたほうれん草カレーの衝撃を超えるくらい人生で食べたキーマカレーで指3本に入るほどの美味しさ。
ラム肉と思われる挽肉を使ったキーマは初めてで、同じ料理をこの月が過ぎたらもう出逢うことはないのかと考えると哀愁すら漂う。
日本にいるのに、まるで帰国する旅路の途中のような不思議な感覚。
お店に足を運んでも食べれないのだから、この一皿に出会ったのは奇跡とも呼べるだろう。
これこそ、『食の一期一会。』
“そんなあなたもパスポートいらずの食の旅をしてみませんか?“ — HPより引用